ポートレート撮影テクニック 「寄り」と「引き」

ポートレート撮影テクニック「寄り」と「引き」 キャッチコピー画像

ポートレート撮影のテクニックを紹介します。風景撮影に向いている景勝地が限られているようにポートレート撮影に向いている場所も意外と限られています。毎回同じ場所で同じように撮影しているとマンネリ化してしまいます。
しかし「寄り」と「引き」を駆使すれば同じ場所でもまるで別の写真のようになり、写真のクオリティが向上します。その一例をご紹介します。

1.モデルに寄ってみる

モデルの表情が良い写真

この写真は公園内の綺麗な緑色の植栽が背景となる場所で撮影した写真です。女性と自然は最高の組み合わせなので、ポートレート向きの場所です。モデルさんはとても良い表情をしてくれているのですが、なんだか物足りません。別のモデルさんを撮影した時にぐっと寄ってみました。

被写体に寄った印象的な写真

背景すべてがグリーン一色となり、非常に印象的な写真になりました。並べて比べてみます。

寄りが足らない写真と寄った写真の比較

Afterの方がドラマティックな写真に仕上がっています。

ワンポイント「寄り」

「寄り、寄る」とは被写体に近づいて撮ること。

2.引いてみる

さきほどはモデルに近づいて印象的な写真に仕上げましたが、すべてのシーンで通じるわけではありません。引きの画の方が向いている場合もあります。

高架下の引きが足らない写真

こちらの写真は高速道路の高架下での撮影です。 少女のような純真さを感じるモデルがゴチャゴチャした高架下に立っているという対比が面白い写真です。しかし撮影者とモデルと背景の位置関係が中途半端です。引いてみましょう。

引いてインパクトを出した写真

撮影者が後方に下がることで高架下の立体感が強調されてインパクトのある写真になりました。

引きの足らない写真と引いた写真の比較

寄りの写真の方が“力強い”というイメージですが、引くことでインパクトが大きくなる場合もあります。モデルと背景に応じて撮影距離を変えるのもポートレート撮影の基本のひとつです。

ワンポイント「引き」

「引き、引く」とは広角レンズで撮影すること、または撮影者が後方に下がって撮影すること。

3.引きの画で背景の情報を残す

一般的にポートレート撮影は中望遠レンズで背景を大きくボカしてモデルを際立たせるのが基本です。しかしロケーションによっては広角レンズで背景の情報を残した方が良い場合もあります。

SF風の空間で背景が消失してしまった写真

この写真はSF風の壁や照明がインパクトのあるロケーションでの撮影です。この写真は50mmの単焦点レンズで絞りF1.8で撮影しているので背景の情報が消失してしまっています。もう少し背景の情報を残した方がこの空間が活かされます。

SF風の空間を活かした引きの写真

広角35mmにして背景をたくさん入れ、絞りF2.8で撮影したのがこちらです。
広角にすることで被写界深度が深くなり、F2.8にしたことで更に背景の情報が多く残っています。
また、モデルの立ち位置を壁の照明に近い位置に変更することで目に印象的なキャッチライトが入り、SF映画に登場するアンドロイドのようなイメージに。

背景が消失した写真と背景を残した写真の比較

絞りF2.8で前回と同じシャッタースピードのままではISO感度を上げなくてはなりません。ですが広角にしたことで、前回の50mmよりも手ぶれがしづらい為、シャッタースピードを遅くしてISOを上げずに撮影しています。こうすることでノイズの増加を抑えています。

まとめ

このように同じ場所でも、「寄り」と「引き」を使い分けることでポートレート写真の質が向上することが多くあります。
同じ場所でもモデルが違えば違う写真になるというのもポートレートの醍醐味です。各々のモデルが持つ雰囲気の差で、同じ場所で撮っても違った写真になります。

寄りと引きをマスターしてポートレート撮影を楽しみましょう。